人事制度を抜本的に変革しなければ未来はない
「ところで、あなたはコンサルに来て、何ができるのですか」
霞が関で数年官僚として働いた30代前半の人が面接にやってきた際に、コンサル側のパートナーは当然のごとくそう問いかける。もちろん官僚側は回答を用意しているが、それが「スキル」と呼べるレベルに達しているケースは少ないという。逆に言えば、官僚時代の仕事がスキルアップにつながっていない、というのである。
これが優秀な人材が官僚を志望しなくなっている最大の理由だろう。
つまり霞が関の官僚として10年働いたとして、何ができるようになるのか。明確に見通せないのだ。逆に言えば、雑用に近い下働きしか与えず、専門性が身に付かない仕事しかできない官僚に魅力を感じていないのだ。これは、官僚の働かせ方、人事制度に大きく関わることだ。
かつて中央省庁の課長といえば、圧倒的な権限を握っていた。30歳そこそこで課長補佐になれば、40歳の課長の右腕としてかなりのことができた。それが今や50歳の課長でも歯車に過ぎない。定年が延長される中で、霞が関の高齢化も進み、年功序列が若手をスポイルする方向に働いている。
人事院は、休みを増やすという小手先の対応ではなく、年功序列をやめるなど抜本的な人事制度を勧告すべきだろう。そのあたり民間出身の川本裕子総裁は十二分に分かっているはずだ。何せ川本総裁、早稲田大学大学院教授に就任する前は、マッキンゼー・アンド・カンパニーで働いていた経験を持っているのだから。