“小銭”を銀行に預けるな

もう1つ大事なのは、百歩譲ってチマチマ節約するのはよしとしても、貯まったお金をそのまま銀行に預けてはいけません。運用の種銭にするのが、お金を増やすための正しい方法です。

いまは定期預金の金利など、ないも同然です。また小銭を貯め込んでも、両替に手数料がかかる時代です。

たとえば、ゆうちょ銀行の窓口では、硬貨の種類を問わず、51枚から枚数に応じた手数料が取られます。

100円玉を100個集めて1万円分持ち込んだとしたら、手数料が550円。この額は、預けたときの金利を大きく上回る5%に相当します。

一円玉にいたっては、100円貯めて550円の手数料と、“持ち出し”になるのですから、バカらしいこと、このうえない話です。

そういったことも含めて、お金は「貯めて増やす」より「運用して増やす」ことを考える。それが、この給料の上がらない時代に「それでも稼ぐ人」に絶対的に必要な思考といえます。

「いまならポイント倍!」の落とし穴

いまはポイントカードが花盛りです。

どこもかしこも、

「いまならポイント5倍サービス」
「ご購入で最大1万ポイントが当たるキャンペーン実施中」
「いつでも1ポイントから利用できます」

など、顧客の囲い込みに躍起になっています。

勧誘されるままにポイントカードをつくって、財布をパンパンにしている人もいれば、アプリ会員に登録して、スマホの画面がアプリのアイコンだらけになっている人もいます。

ポイントを貯めて、割引の恩恵を最大限受けながら、生活費の節約に結びつける。そのこと自体を悪いとまではいいません。でも「大事なことを忘れていませんか?」と問いたいのです。

そもそもポイントが貯まったと喜んでいますが、その分だけ出費があった、ということです。別のところで割引してもらうのは、それほど大事なことでしょうか。ポイントが貯まらなくても、出費がゼロなら、そちらのほうが節約になるのではないでしょうか。

また「○倍ポイント」なんて宣伝につられて、必要のないモノを買ったり、いつもより高額なサービスを利用したりしがちです。節約と逆行する結果になってしまうことも多々あるでしょう。

池本克之『「それでも稼ぐ人」33のルール 景気も、環境も、学歴も、年齢も、この人には関係ない』(三笠書房)
池本克之『「それでも稼ぐ人」33のルール 景気も、環境も、学歴も、年齢も、この人には関係ない』(三笠書房)

さらにポイント狙いが高じると、わざわざ遠くの店に出かけたり、期間限定とかタイムサービスの“縛り”があるために時間を無駄遣いしたりするでしょう。自分の人件費と交通費を考えたら、コスパが悪いと思いませんか?

ようするに「ポイントを貯める」ことが目的化してしまうと、本来の目的であるはずの節約から遠ざかってしまう、ということ。本末転倒です。

みなさんのように、これからの時代に「それでも稼ぐ人」を目指す人が、ポイントをコツコツ貯めてどうするんですか。「よっしゃー、1000ポイント達成。1%引きだ」と小さくガッツポーズをする、そんな姿は似合いません。

ポイントカードの利用は「高額なモノ・サービスの購入」に限って、あとはいますぐ捨ててしまいなさい――。それが私からのアドバイスです。

【関連記事】
【第1回】「まずは年収1000万円プレーヤーを目指しなさい」経営コンサルが"中途半端な副業"に警鐘を鳴らす理由
「高収入でも貯蓄できない謎」住宅ローン・食費以外に、月10万円超を払わざるをえない支出項目
なぜ日本人は投資をやらないのか…「働くことは尊い」「投資で得た金は不労所得」は世界の非常識である
「うちは金持ち」と認識させるのは避けるべき…「うちはお金がない」と思っていた人ほど将来トクをする理由
「お金が貯まらない人の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は絶対に置かない"あるもの"【2021上半期BEST5】