お金への執着は仕事のパフォーマンスを下げる

一方、お金を貸した人は、金額の多寡にかかわらず、いつまでも覚えています。催促をしなくても、ふと貸した相手のことを思い出したり、顔を合わせたりするたびに、心のなかでいっています。

「あのとき貸したお金、いつ返してくれるんだろう」とか、「いい加減、貸した金、返せよ」とか。

なぜ忘れないかというと、財布から出ていったお金に対して執着があるからです。それが強すぎると、相手を憎むようになる場合もあります。あるいは四六時中、貸したお金のことが頭から離れなくなります。

しかもやっとの思いで催促しても、のらりくらりと逃げられると、なおさら貸したお金への執着が強まりますよね。

このように、お金を借りたほうも、貸したほうも、結局はお金への執着に縛られることになります。

それによって一番困るのは、

「仕事のパフォーマンスが下がる」

ということです。頭のなかを余計な考えが去来するために、どうしたって集中力が落ちてしまうのです。

よく「お金の貸し借りは人間関係を悪化させる」といわれますが、それだけではありません。じつは仕事の実績に悪影響をおよぼすという、もっと深刻な事態を招きかねないのです。

だからお金の貸し借りは、しないのがベストです。とくに「友人・知人に借りる」という選択肢はないと心得てください。借りるなら、金融機関で正規の手続きを踏むことです。

「借りたお金を返さなければ、我が身が破滅する」というところまで追い込んでおけば、少なくとも借金を踏み倒すという人の道を踏み外す心配はなくなります。

あと、どうしても貸さざるを得ないとき、貸してあげたい気持ちの強いときは、あげてしまいましょう。

そして、「いま、都合できるお金はこれだけだ。返済は不要、差し上げる」と宣言すれば貸した金への執着を捨てられるはずです。

節約を考えるのは、50歳を過ぎてからでいい

給料の上がらない時代です。

目標を決めて3年、5年と頑張っても、思うように上がらない場合もあるでしょう。というより、上がらないことのほうが多いかもしれません。

そうなると、どうしても「節約せねば」という気持ちが首をもたげてきますよね。

その考え方は間違っていないし、稼ぎが少ないのに無駄遣いするのはまったく感心しません。

しかし無駄遣いのお金以外で、さらに節約を考えるのは、50歳を過ぎてからでも遅くはないでしょう。

若いうちは節約よりも、3000円を3万円、30万円にするにはどう運用すればいいか、その方法を覚えることのほうが大事です。

ただし運用に当たっては、株式投資にしろ、投資信託にしろ、先物取引にしろ、勉強と経験が必要です。ある程度の失敗は「想定内」としましょう。

もちろん、運用をはじめて一発目で“大きく化ける商品”が見つかることもないとは言い切れません。また、うまくいく方法を見つけてから、運用に動き出そうと考える人もいるでしょう。

しかし偶然に期待したり、リスクを引き受けられなかったりするのは単なるギャンブルであり、そんな運用のやり方は邪道です。

そもそもラクして稼ごうだなんて、魂胆が気に入らない。まず少額でいろいろな手法にトライしながら、うまくいく方法を見つけるのが王道です。

とくに若いみなさんには、「大吉が出るまで、おみくじを振り続ける」感覚で、多種多彩な運用手法にチャレンジすることをおすすめします。

おみくじをくくる手元
写真=iStock.com/gyro
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