どこに身をおけば自分の市場価値が上がるかを見極める
業界・業種など“経験”を軸に転職先を探すのがスムーズではあるが、少し軸をずらして仕事を探すと可能性が大きく広がるケースが多い。
特殊な例かもしれないが、声優だった人が営業職に転職した例がある。その企業の営業職はお客さま向けの説明会で話をするのがメインの業務のため、「声を使う」「話す」という得意なスキルをアピールして転職し、第一線で活躍している。
ホテルに勤務していた人が金融系の営業職に採用されることも多い。高度な接客マナーとホスピタリティを兼ね備えているため、ハイクラスのお客さまを相手にする資質ができているという印象を持ってもらえるからだ。
「自分の強みが分からない」と思っている人は、仕事の経験だけではなく、趣味や普段の生活に関わることを含めて、自分の得意なことや、人よりも容易にできることは何かを洗い出すと、自分の本来の強みが見えてくるはずだ。
自分の得意なことを生かせる仕事は何か?
自分をどんな理由で売り込めるのか?
自分の市場価値を最も高められる環境を見つけられるかどうかが大事なのだ。
キャリアプランの有無が行動に変化をもたらす
年収を上げるには、いつまでに、どれくらいの収入を得たいのか、目標を立てることをお勧めしたい。目標を達成するには、自分に残されたビジネスパーソンとしての時間を自覚してキャリアプランを描き、実行していくことが欠かせない。キャリアプランは若手だけのものではないのだ。
ハーバード大学の学生を10年間追跡調査した結果が興味深い。「目標をもっているが、紙には書いていない」と答えた卒業生(全体の13%)は、「目標をもっていない」と答えた学生の2倍の収入を得ていた。「目標をもち、それを紙に書いている」と答えた卒業生(全体の3%)は、残り97%の卒業生の10倍の収入を得ていた。
目標を持ち、紙に記して明確に見える化することで、潜在的な意識が実際の行動に良い影響を及ぼし、収入アップにつながるキャリアを後押ししてくれたと言えるのではないだろうか。
年収が700万円を上回ると、生活の満足度が大きく好転するという現実がある。
そのラインが、ビジネスパーソンとして一つの目標になりえるだろう。転職、副業などさまざまな方法があるが、まずは具体的な目標を立て、達成に向けた行動計画に落とし込み、実行していくことが大切だ。
より満足度の高い生活を求めるのであれば、一歩踏み出してみる価値はあるはずだ。
参考資料
※1:マイナビ転職『賃金についての調査』(2022年)
※2:内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書 2022」
※3:マイナビ「転職活動における行動特性調査 2022年版」
※4:マイナビ転職『副業に関する意識調査』2020年11月
※5:Harvard Business School Goal Story Study about goals at Harvard MBA program, 1979.