「スキルを磨きたいのに、会社がそれを許してくれない」

とりわけ20代は、仕事を覚える時期でもあります。このタイミングで、先輩や上司から仕事を教わり、30代で「一人前」の仕事をすることが求められます。

製造業の大手企業に入社した20代の男性は、次のように話してくれました。

「勤務時間中は目の前の業務をこなすことで手一杯。夕方に将来に向けたスキルを磨きたいのに、会社はそれを許してくれないのです……」

また、残業が少ないIT企業に入社した20代の女性は、「大型案件のプレゼンが翌日に控えていたので入念に準備していたら、『残業するな』と帰らされた。会社の業績に繋がる商談なのに、残業しないことが目的となっていて残念です」と、ため息交じりに話してくれました。

労働時間は短くても、自己研鑽の時間が減ると、このままでよいのか不安になる20代が多いようです。

残念な理由②:重要なプロジェクトから外される

ホワイト企業に入ってがっかりした理由の2つ目は、重要なプロジェクトから外されること。

コンサルティングファームや、グローバルビジネスを展開している企業などでは、「時差がある人」とのやりとりが多数発生します。

高度プロフェッショナル制(注1)や裁量労働制(注2)の導入企業は、グローバルの大型プロジェクトでは技能を持つ社員が登用され、早朝や深夜も働くことになります。

注1:高度プロフェッショナル制/一定の専門知識や技能を持つ高度な専門職に対して、労働時間規制を緩和し、労働者と事業主の間でより柔軟な労働条件を設定することができる制度。
注2:裁量労働制/通常の労働制度では、労働者は所定の労働時間に働かなければならないが、裁量労働制では、労働者は自分の仕事の進め方や労働時間を自由に決めることができる。

しかし、まだ専門スキルも経験も少ない20代社員は労働時間が制限されることで、こうした大型プロジェクトから外されてしまうことがあるようです。

「このままの働き方で一人前の30代になれるか不安です」

ある外資系コンサルティングファームに入社した男性は、30代に向けて不安を口にしました。

「優秀な先輩コンサルタントは、20代で過酷な状況で経験とスキルを着実に積み上げていたそうです。会社は2018年から働き方改革をはじめ、若手社員の残業を極端に抑制しています。それ以来、大型プロジェクトから若手社員が外されて……。このままの働き方で一人前の30代になれるか不安です」