ここでいうビジネススキルとは、文書作成やコミュニケーション能力、ITツールの利活用、会議ファシリテーションやプレゼンテーション能力などビジネスに活かすことができるスキルであり、それらを業務時間内、もしくは時間外でも学びたいと若手は言っているのです。

こういったスキルを身に付けたいという若手社員が増えていることは歓迎すべきことです。しかし残念ながら、多くの企業がこの事実に気づいていません。研修時間を減らし、若手のモチベーションを下げていたのです。

働き方改革ではなく「学び方改革」を

一方、社員の要望を聞き、働き方改革に成功している企業は、「学び方改革」を推進しています。

社内会議や資料作成のフォーマットを決めて定型業務を減らし、生み出された時間を研修に充てています。

会社側と社員が必要だと思う研修メニューを一緒に作成し、興味を持った講座を社員が自分でピックアップしていました。

会社が社員に受講を強制させる基礎講座と、社員が自分で選ぶ応用講座を組み合わせて、カフェテリア方式で社員の自己選択権を基に、チョイスしていく「学び方改革」を実行しています。

会社の成長に必要なスキルを社員に身に付けさせ、そして社員は自分の成長に必要なスキルを身に付けるわけですから、両者がハッピーです。

「カフェテリア形式」の研修が効果的

若手人材の流出を抑えたいという企業はぜひ、こうした「学び方改革」を実行してみてください。学び方改革、研修の充実が、若手の離職率改善に影響することは、クロスリバーの39社の行動実験で明らかになっています。

「会社として受けてもらいたい研修」はもちろんあるでしょう。でも、それを一方的に押しつけるだけではだめなのです。

若手社員が自分の成長のために受けたい研修、たとえば開発言語、プレゼンテーション、デザイン思考の勉強などといった希望があります。そのような「受けたい研修」の希望を若手社員の側に出させるのです。

「社員が受けたい講座」と「会社が受けさせたい講座」を、人事部など人材開発部門でミックスさせて、「この中から年間に5つ受講してください」「必須のものは2つ、自由参加は3つです」などとメニューとして提示するのです。いわゆるカフェテリア方式です。