非正規やフリーランスにこそ支援が必要
とはいえ、こうした研修の機会に恵まれるのは、そもそも育休を取得できる正社員だけだ。
育児休業給付を受けているのは、2018年段階の推計で生まれた子ども100人につき、女性は29.1%、男性は1.6%しかいない。女性の育休取得率は8割を超えているというが、これは雇用保険に加入し、出産後も雇用を継続する女性たちを母数としているからで、実態は母親の3割弱しか育休を取得しておらず、育児休業という制度そのものが女性の格差を生み出していると、政治学者の三浦まり上智大学教授は著書『さらば、男性政治』(岩波新書)で指摘している。
今では非正規雇用の人も一定の条件を満たせば育休は取得できるが、実態としては妊娠出産の時点で雇用止めに遭うケースもあり、育休取得のハードルは高い。
育休中、そして復職後も含めて非正規やフリーランスの女性たちに「学び」の機会が与えられることはほぼない。それが、一度離職してしまうと、正社員としての再就職を難しくしている大きな要因にもなっている。スキルのアップデートだけでなく、前述したように自己効力感の低下にもつながっていくからだ。
結果として、それがこの国で働く女性の約半数を非正規が占めるということにもつながっている。育休中のリスキリングを進めるというならば、むしろ学びの機会になかなか恵まれない、非正規やフリーランスの人に対しての支援こそ必要だと思う。