早期塾通いの弊害は親が成績に一喜一憂してしまうこと

低学年から塾通いをしても、小4以降の成績が保証されるわけではない。どの進学塾でも、中学受験のカリキュラムは小4から設定されている。計算や漢字は先取りができたとしても、頭を使って考える思考力・応用問題は、抽象概念が理解できるようになる小4以降でないと厳しい。

では、低学年コースではどんなことを学ぶのかというと、数や模様の連続性などの法則を見つけたり、迷路やクイズのような問題や簡単な図形問題を解いたりするなど、思考や発想系の学習が中心になる。

こうした頭を使う学習は、中学受験の勉強と直結するわけではないが、「マイナス」になるものでもない。子供が「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤に楽しく取り組めるようなら、勉強系の習い事の一つとして選択するのもアリだろう。要は楽しく取り組めていれば問題はない。

母親とハイタッチする子供
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ところが、多くの場合、そうはいかない。というのは、進学塾である以上、低学年コースであっても月1回テストが実施され、成績表に得点と順位が出るからだ。わが子の成績が出ると、穏やかな気持ちでいられなくなるのが親というもの。すると、テストでいい点を取るための勉強が始まってしまう。しかし、こうした思考や発想系の問題は対策しようがないし、できたからといって中学受験の合格に直結するわけでもない。

ところが、多くの親は、テストの点や順位といった“数字”に焦りまくり、「もっと勉強をさせなきゃ!」と、低学年のうちからテキストの問題を何度もくり返し解かせようとしてしまう。そうしてドリル漬けの生活にしてしまうのだ。

そうなってしまうと、自由な発想を鍛えようという本来の学習の目的からどんどんズレていってしまう。また、“やらされる勉強”は学習意欲を削ぎ、勉強嫌いな子を生み出す。中学受験の勉強が始まる小4の段階で、すでにタスクを与え続けられる勉強に疲れ、勉強嫌いになっている子は少なくない。