日本の従業員エンゲージメントは世界最悪

2014年頃から人事評価制度の構築を始めていましたが、会社は軌道にのるどころか、かえって社員の離職率の急増という結果を招いていました。以前の面談での経験からも、単に給料を上げるような小手先のやり方では、社員の育成や定着を望めないのは明らかでした。

組織が崩れかけている原因を突き止められずに悩む私のもとへ、ある一本の営業電話がかかります。

それは、リンクアンドモチベーション社からの、従業員エンゲージメントを測定する、エンゲージメント・サーベイ(アンケートで組織の状態を可視化・分析する調査)の案内でした。

「従業員エンゲージメント(またはエンゲージメント)」とは、「企業と従業員の相互理解や従業員の自社への貢献意欲」を表します。エンゲージメント・サーベイは、企業と従業員の関係性をデータで可視化して測定する、いわば「企業の健康診断」です。

アメリカのコンサルティング会社、コーン・フェリーが、2020年に世界の23カ国を対象に行ったエンゲージメント調査によると、日本のエンゲージメント・スコアは56%で最も低い数値を示しました。

世界平均の66%を10%も下回るデータは、世界最低水準です。諸外国の従業員と比べ、日本の従業員の会社への貢献意欲が劣るとある検証データからは、日本における人と組織の絆の弱さが読み取れます。

社員の強い不満が数値化、組織偏差値は「47.8」

もうやるしかないと決意した私は、リンクアンドモチベーション社のデジタルツールを自社へ導入し、全社員を対象に調査を実施しました。

会社の現状を直視するのは怖い。でも、どこに問題があるのかを具体的に把握しないことには組織の課題は改善のしようがない、と腹をくくったのです。

2016年12月、最初に計測したエンゲージメント・サーベイでの、エンゲージメント・スコア(組織偏差値)は47.8でした。

エンゲージメント・スコアは、企業の偏差値にあたります。大学の偏差値のように、調査を実施した全企業の中央値を50とみなし、従業員の期待と満足度の差で算出されます。あるべき姿と現状との差が小さくなるほど、スコアが高くなる仕組みです。

ここで判明したのが、会社の制度・待遇に対する社員の強い不満でした。人事評価制度における公平性、透明性、納得性への不信感が、数値化したデータに表れていたのです。