自分の意見を通して手柄を立てたがる人間がいたかと思えば、逆に一言も話そうとしない人間もいる。会議は参加メンバーの思惑が交錯する戦いの場でもあるのだ。ピンチに直面したときに役立つ「一言」を紹介する。
いいたいことは、こういうことですね
せっかくダンマリ君が自分の意見を出してくれているのに、「俺も知っているよ。それって、こういうことだろう……」とすぐに人の話に割って入ろうとするシッタカブリ屋も少なからずいる。彼らに話を遮られたダンマリ君は再び貝のように口を閉ざしてしまう。そんなシッタカブリ屋は常習犯のことが多い。だから他のメンバーは「また、あいつか……」と辟易してしまい、会議の雰囲気も一気に悪くなってしまう。
「なぜ、知ったかぶりをしてまで人の話に割って入ろうとするのか、彼らの心理から考えてみる必要がある。そのようなタイプの人間は、往々にして自己顕示欲がとても強い。『自分の存在を認めてほしい』と、声なき声をあげているのだ」と『とっさのひと言フレーズ集』の著者新田祥子さんは分析する。
だったら、強制的に黙らせるのではなく、シッタカブリ屋の潜在的な欲求を満たしてあげたらいい。その際の便利な言葉として新田さんが紹介するのが「○○さんのいいたいことは、こういうことなのですね」なのだ。その一言に続けて、シッタカブリ屋さんのいったことを具体的に繰り返していく。
たとえば、「要約すると2点ありますね。一つ目がこういうことで、二つ目がこうしたことでしたね」といってあげる。すると「うん、うん」と頷きながら、自分の意見が認められたこと、自分の存在がアピールできたことに、シッタカブリ屋は満足の表情を浮かべるはずだ。
そうした相手の意見を繰り返す方法を「オウム返しの術」と呼んでいるコーチング・ラボ・ウエスト会長の本山雅英さんには一つの奥義がある。単に口に出して繰り返すだけでなく、ホワイトボードに意見のポイントを大きく書き出していけば、シッタカブリ屋に視覚の面でもより大きな満足感を与えることができるというのだ。