海外では「ステルス加工」の規制も
反動も起きている。たとえば、映えない系SNS「BeReal」は2022年5月時点でダウンロード数1000万を超えるなど、Z世代を中心に人気となっている。Instagramのように画像を加工することができず、アプリから通知がきたタイミングで原則2分以内に写真をアップしなければならない仕組みだ。
撮影時にはインカメラとアウトカメラ両方同時に撮るため、撮影時の自分も写る。映えを考えて撮影したり加工したりができず、名前の通りリアルであらねばならないというわけだ。
アパレルブランドのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズは、自社の下着ブランド「Aerie」で広告写真を一切修正しないことを宣言している。シワやたるみ、傷やほくろなどもそのままであり、同時にプラスサイズなどさまざまな体型のモデルを起用している。無理せず自然体でいたい消費者の女性たちに支持され、売り上げを伸ばしているのだ。
SNSでの加工を明示しなければ法律違反となる国も現れている。ノルウェーでは2021年、広告主やSNSのインフルエンサーが写真を加工している場合、開示する義務が法律で定められた。ノルウェーの若い女性の死因3位が拒食症であるためだという。イギリスやフランスでも同様の規制が進んでいる状態だ。
自分自身を受け入れられるよう見守りを
若者世代はSNSなどからダイレクトに影響を受けており、それが自己否定にもつながっている。述べてきたように、SNSの写真の多くは肌もスタイルも加工されており、決して真実ではない。まずその事実を子どもに教えてほしい。盛っていないリアル系インフルエンサーの投稿や加工しない広告などを見てリアルを知ってもらうこと、自分の素の姿を受け入れられることこそが大切ではないか。
強迫観念にかられて、自分を追い込むような情報ばかり積極的に見てしまう若者もいる。InstagramやTikTokなどは、ペアレンタルコントロール機能を使って利用時間制限も可能だ。問題ある投稿を積極的に見続けている子どもには、そのような対応も効果的だろう。
10代は自分の身体について些細なことも深く思い悩みがちだ。自分の身体や自分自身についてポジティブにとらえられるよう、見守ってあげてほしい。