インスタ利用者は美容整形に肯定的な傾向

現在では、「まぶたを二重にしたい」「鼻をちょっと高くしたい」という場合、二重まぶた埋没法やボトックス注射などの方法で比較的リーズナブルに施術を受けられる。こうした「切らない整形」が増えている。

ボトックス注射を受ける女性
写真=iStock.com/vitapix
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矢野経済研究所の調査によると、2014年に2833億円だった国内の美容医療市場規模(医療施設収入高ベース)は、2019年に4070憶円に拡大し、2020年は前年割れとなったが、2021年は回復基調となった。同市場は、今後も拡大基調で推移するとみられている(※)

※出典=株式会社矢野経済研究所「美容医療市場に関する調査(2022年)」(2022年7月20日発表)

美容整形肯定派という、ある20代女性は「費用対効果を考えると、アクセサリーより美容整形に軍配があがるのでは。日々の満足度を考えると、圧倒的に美容整形だと思う」という。美容整形をこのように肯定的にとらえる若者は増えている。

SBSデータバンク静岡市調査によると、美容整形についての考え方を聞いたところ、2016年と比べて2021年では「手術を伴う美容整形をしてもよい」が19%から28%、「軽い美容整形ならしてもよい」が31%から43%など、美容整形を肯定的にとらえる人が増えている。

35歳以上では「手術を伴う美容整形はいきすぎだと思う」が「よいと思う」を上回ったが、20歳から34歳では「よいと思う」が上回るなど、若者ほど美容整形を肯定的にとらえる傾向があった。

また、手術を伴う美容整形に肯定的な35~49歳の女性、否定的な35~49歳の女性を対象にInstagramの利用状況を聞いたところ、「よく利用している」「ときどき利用することがある」の割合が肯定派は54%、否定派は44%と肯定派のほうが多く、否定派は「登録をしていない」が41%を占めた。

10代のメンタルに悪影響、摂食障害も

Instagramユーザーは美容整形に肯定的というのは納得感がある。Instagramといえば「インスタ映え」であり、投稿には肌をなめらかに加工した顔写真やスタイルを細く加工した写真があふれている。

「#美容整形」の投稿も約59万件あり、整形を公表する人も増えている。自らの美容整形を明らかにして、手術後の腫れや赤みが引かないダウンタイムの顔写真などを公開している美容整形系インフルエンサーも人気だ。二重整形を受けた小学生のビフォーアフターを掲載した動画が批判を集めたことも記憶に新しい。

メタの自社調査で、Instagramは10代のメンタルに悪影響があることがわかっている。自分の身体に対して悪いイメージを抱いたり、摂食障害につながる可能性が指摘されているのだ。中には利用することで自殺願望につながるという少女もいた。これはInstagramに限った話ではなく、TikTokにも同様の懸念があるという。

美容整形によって自信が持てたり、満足するのであれば、検討するのも悪いことではない。しかし、あふれる情報によって自分自身に自信が持てなくなったり、拒食症になったり、美容整形しなければ生きていけないと思い込むのであれば問題だ。