若者は「美容整形」についてどう考えているのか。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは、「SNSで加工写真ばかり見るうちに自分のほうを寄せなければという気持ちになり、美容整形に肯定的な人が増えている。しかし、こうしたルッキズムは多くの若者を苦しめてもいる」という――。
「元の顔が全部好きじゃなくなった」
ある大学生は複数の加工アプリを使い分け、顔写真の加工に余念がない。「かわいくなれるから、加工は好き。でも、もっとかわいくなろうと色々いじっているうちに、自分の元の顔が全部好きじゃなくなった気がする」と眉をひそめる。
ニーズに合わせて加工アプリはよりどりみどり。たとえば「Meitu」や「BeautyPlus」、「SNOW」を使えば、美白・美肌や歯のホワイトニングなどは当たり前。整形級の加工やオートメイク、体型補正なども可能だ。「FaceApp」を使えば性別から変えることもできる。こうした加工には際限がない。
きれいに見られたいのは当然の心理だし、それで気分良く過ごせるなら加工もありだ。ただし、徐々に加工しない素の顔は出したくなくなることも事実。大人世代でも、Zoomなどのビデオ会議でフィルター機能を使っている方なら気持ちがわかるのではないか。
10代は「自分の顔を加工後に近づけたい」
履歴書などの証明写真に使う写真を加工するスタジオがあるというニュースが話題となった。大人世代は驚くが、若者世代はそのニュースに対してむしろ「当たり前では」という顔をする。そのくらい、若者世代において顔写真の加工は身近なものになっている。
マンダムの「顔画像の加工に関する女性の年代別意識調査」(2022年5月)によると、自分が写っている画像をSNSにアップしたり、知人に共有したりするとき、自身の顔の補正や加工をするか聞いたところ、10~40代の全年代で「いつもする」「たまにする」合わせて7割以上が「する」と回答した。
補正や加工済みの自分の顔画像と実際の顔を近づけたいかという質問に対して、「すごくそう思う」は10代で74.4%と7割を超えた。20代は4割強、30~40代は4割程度であり、その差は大きい。