ティーチングで教えられた答えを人はすぐに忘れます。しかし、自分で見つけた「気づき」は生涯忘れません。

それを知っているからこそ、植松社長はあえて教えない振りをして気づきへと誘導するのです。これこそが一流の教育だ、と私は思いました。

自分ができる未来だけに100%集中する

一方で私たちはどうでしょうか。「私の言った通りやればうまくいくだろう!」とティーチングで教え込んでいないでしょうか?

それは三流の教育でしかありません。

もしも「何度教えても覚えてくれない」と嘆きたくなるメンバーがいたとしたならば、メンバーを責めるのではなく自分の教え方を振り返ってみる。

それが「自分を指さす」ということなのです。

相手を変えることはできない。だが、自分は変わることができる。

過去を変えることはできない。だが、未来は変えられる。

だから私たちは過去を振り返らず、相手のせいにせず、自分ができるこれからの未来だけに100%集中することが大切なのです。

そういう人が相手から信頼を受ける。逆を行う人は信頼を失うのです。

全員が「相手を指さしている」チームと、全員が「自分を指さしている」チーム。どちらのチームが強いでしょうか? あなたにはもうおわかりですね。

チームで手を重ね合わせてタッチ・アンド・コール
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

誰も指摘しないが、いつのまにか生理的に拒絶される

信頼の法則 ③ 誠実である

嘘をつかない、約束を守る、言行を一致させる、謙虚である、利己ではなく利他。

私たちが定義する「誠実」の内容です。

「そんなこと言われなくてもわかっているよ、あたりまえだろう」そう話すリーダーたちの多くはこの大切さに気づいていません。

「自分はできていますよ」自信満々に話すリーダーに一つひとつ事例を話していく度、その表情が崩れ、急に目が泳ぎ始めるのです。

つまり「食事などのささいな約束を守っているか?」「経理への提出期限を守っているか?」「同僚へ仕事の大変さを不幸自慢していないか?」「遅刻するメンバーを叱ったが自分も会議に遅刻してしまっていないか?」などなど。

もしもあなたが相手から誠実でないという判断を下されたなら、あなたはその人から生理的に拒絶され、受け付けてもらえなくなるのです。

しかも、これらの内容は人間の根源に触れる部分であるがゆえに、気になることがあったとしても誰も指摘をしてくれないのです。

これは恐ろしいことです。もしかしたらあなたはすでにチームのメンバーから生理的に拒絶されているかもしれないのです。