ヌートバー選手がWBCで見せて話題に
3月18日、第95回記念選抜高校野球大会が甲子園で開幕した。コロナ禍が明けて、今年は応援もフルで認められ、マスク着用も任意になった。
開会式直後に行われた1回戦の第1試合では東北高校が山梨学院に1-3で敗れた。
初回、東北の1番・金子和志(3年)は相手のエラーで出塁した際に、自軍ベンチに向かって、「ペッパーミルパフォーマンス」を行った。
「ペッパーミルパフォーマンス」とは、セントルイス・カージナルスの外野手で、日系選手のラーズ・ヌートバーがWBC(ワールドベースボールクラシック)の試合で出塁した際に見せて話題になったものだ。
両手でコショウ挽き(ペッパーミルグラインダー)を使ってコショウを振りかけるマネをするものだ。
このパフォーマンスは、ヌートバーの専売特許ではなく、カージナルスではいろいろな選手がやっている。アルバート・プホルスなどのスター選手もやったことがある。
それならなぜ「ガッツポーズ」は問題ないのか?
日本の高校球児が安打を打った際に塁上で見せる「ガッツポーズ」は、MLBでは、アンリトゥンルール(書かれざるルール、不文律)で禁じられている。安打を打たれた投手に、必要以上に「恥をかかせる」行為だからだ。ガッツポーズをした選手は、次の打席で投手からビーンボール(死球すれすれのボール)を投げられることもあった。
しかし「ペッパーミルパフォーマンス」は、ガッツポーズと同様とはみなされていない。これは相手チームに向かってひけらかすものではなく、味方ベンチに向かってするものであり「(コショウ挽きを使ってコショウを振りかけるように)小さなことからコツコツとつないでいこうぜ」というメッセージなのだ。
WBCでのヌートバーも味方ベンチに向けて「ペッパーミルパフォーマンス」をしているのだ。このパフォーマンスが話題になり、大谷翔平など他の選手もするようになった。
東北高校の金子も「さあ、つないでいこうぜ」というメッセージを自軍に向けて送ったのだが、一塁塁審は1回の終了後に「パフォーマンスはダメ」と東北高校側に注意をした。