「既存の政治を変えたい」は達成されるかもしれない
日本もガーシー氏を追放したことで、「選挙で当選しても、政治家仲間に嫌われると議員資格はあっさり剥奪される」という前例ができた。政治の不正や腐敗より、「議会のルールを破る」ということのほうが遥かに罪が重いと立法府が宣言して、国民もそれを受け入れたのである。
ということは、どんどん国家統制を強めてほしいという世論が盛り上がる可能性もある。そして、政治にそれほど興味のない人々、若者たちはどんどん投票に行かなくなるので、極端なイデオロギーを持つ高齢者がより発言権を増していく。
それが極左か極右かはわからないが、「民主主義などどうでもいいや」という社会ムードが強まっていくのは間違いないだろう。
そのような意味では長期的に見ると、ガーシー氏に票を投じた人たちの願いは達成される。ガーシー氏のおかげで、政治不信に拍車がかかって、既存の政治体制はガラガラと崩壊する。
それが国民にとって幸せになることなのかどうかはわからない。ただ、それくらいめちゃくちゃな事態にならない限り、もはやこの国の政治家は、自分たちで何かを変えることはできないのではないか。