ガーシー氏の歳費より議論すべきカネの問題

例えば、「登院停止」などの懲罰をキープしたまま、ガーシー氏の言い分に耳を傾けてもいいのではないか。まがりなりにも「国会に出席しません」という公約を掲げていたわけだし、なぜ約29万人もの有権者がそれを支持したのかということを検証しつつ、リモートでの出席など新しい議会のルールについての議論を始めたっていい。

「いや、ガーシーに支払われる議員歳費が税金の無駄になる」とか言う人もいるが、ガーシー氏はこれまでの歳費には手をつけていないと説明しており、全額返還もしくは寄付の意向を示している。

そもそも、そんな宙ぶらりんのカネを問題視するヒマがあるなら、何年も塩漬けされている年間1200万円の文書通信交通滞在費(現在は調査研究広報滞在費)についての議論をすべきだ。

他の国会議員はルールを破ってもクビにならない

という話をすると、「国会議員がルールを守るのは当たり前だ、それができない人間をクビにして何がおかしい!」と怒りでどうにかなってしまう人もたくさんいらっしゃるだろうが、無党派層、特に若い人たちが「日本の政治、終わってんな」とシラけるのをまさしくそこなのだ。

ガーシー氏がルールを守らないということでクビになるのなら、他の国会議員もルールを守らなければクビになっていなくてはおかしい。が、そういうルール破り議員が除名になったことはない。

口利きの見返りで現金を受け取っても、未成年相手にパパ活をして飲酒をさせても、大臣やら政務官という役職を辞任するだけで議員の資格を奪われることはなく、年間で議員歳費と調査研究広報滞在費を合わせた約3400万に、政党交付金や立法事務費を乗っけた約4500万円がチャリンチャリンと懐に入ってきている。

この「ダブルスタンダード」は一体なんなのだ、と政治に関心のない人は素直に疑問に思うはずだ。だが、いくら考えても納得のいく答えは出ない。そうなると、選挙にいくのがバカバカしくなる。これこそが、ガーシー氏の処分によって、政治不信に拍車がかかる2番目の理由だ。