子どもの自主性を育む親は何をしているか。脳科学者の西剛志さんは「私のクライアントの女性は、強制されたことに反発したくなる『心理的リアクタンス』を子育てに生かしている。『アホになるから勉強するな』と口癖のように言い、子ども3人を一流大学に現役合格させた」という――。
※本稿は、西剛志『あなたの世界をガラリと変える 認知バイアスの教科書』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
なぜ、強制されるとやりたくなくなるのか
関連するバイアス――「心理的リアクタンス」
わたしは教育系の講座や研修もよく行なっています。そこで、こんな簡単な実験をすることがあります。お子さんたちの前に箱を置いて、「この箱を絶対に開けないでね」とお願いして、その場を離れるのです。
すると、子どもたちはほぼ100パーセントの確率で箱を開け、中身を確認します。
これは「何が入っているんだろう?」という好奇心にプラスして、「心理的リアクタンス(Psychological Reactance)」という認知バイアスが働くからです(※1)。
「リアクタンス」とは、強制されたことに反発したくなる状態のこと。この実験の場合、子どもたちは「この箱を絶対に開けないでね」という禁止の強制に反発し、お願いとは逆のアクションを起こすのです。
この反応は子どもたちに限ったことではありません。
わたしたちの脳は1つのことに縛られ、思考が制限されるのを嫌います。ですから、「○○禁止!」「○○しなさい!」などの強制や命令には、その内容が正しい、正しくないとは関係なく、無意識のうちに反発を覚えるのです。