ちょっとしたことで落ち込みがちな人が楽観的になれる方法はないか。脳科学者の西剛志さんは「ものごとがある程度コントロールできる状況にいるとき、『楽観主義バイアス』は強まる。『当選するかも』『できるかも』と思い込むことだ」という――。

※本稿は、西剛志『あなたの世界をガラリと変える 認知バイアスの教科書』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

職場で親指を立てた同僚のチームのクロップドショット
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100の「いいね」をもらっても1つの批判でなぜ落ち込むのか

「いつも大事なところで失敗する」
「最初からダメなパターンを想像してしまう」
「ネガティブなコメントがつくと、どんなに『いいね』が多くても落ち込む」

あなたのまわりにもマイナス発言が多めのネガティブな人はいませんか?

近くで見ていると、「別に失敗していないのに」「まあまあうまくいっているのに」「フォロワーがたくさんいてうらやましいくらいなのに」という印象なのに、本人はつねに後ろ向き。

SNSで100の「いいね」をもらっても、1つの批判コメントがあるだけで、「やっぱり自分はダメなんだ」と落ち込んでしまいます。こうしたネガティブさんの心理に働きかけているのは、「ネガティビティバイアス(Negativity bias)」です(※1)

図表1を見てください。

この図を見て、どの部分が気になるでしょうか?

多くの人は右の円の欠けている部分が気になってしまいます。もし欠けた部分が気になる場合は、「ネガティビティバイアス」が働いている証拠です。

このバイアスは、本書の1時限目で述べた「注目バイアス」のなかでもマイナスなものにフォーカスする脳のクセです。

わたしたち人類は、太古の昔から自然災害や敵対する部族の襲撃、危険な動物との遭遇、疫病やケガなど、たくさんの脅威にさらされて生きてきました。

マイナスなことに注目してそれを乗り越えなければ、生き延びることができませんでした。だからこそ、わたしたちはこのようなマイナスなものにもフォーカスする力を獲得してきたと言われています(※2)