「家業」化した専業議員が牛耳っている
多様な人材の参画を求める具体策としては、「夜間・休日等の議会開催」や「通年会期制の活用による柔軟な会議日程の設定」などを掲げている。
もっとも前述の「実態調査」によると、2021年中に「休日議会」が開催されたのは山形県上山市や東京都国分寺市などの7議会7回だけ、夜間議会は大阪府大東市の1回だけだった。
欧州の地方議会では、本業を持った市民が議員となり夜間に議会を開催している例が多くある。コミュニティーに直結した問題を解決する議会には「専業」の議員ではなく住民自身が携わるべきだという考えも広く浸透している。そうしたフルタイムで働いている人が議員を兼務しようと思えば、議会の開会は休日や夜間ということになる。
そうした考え方は日本でもかなり前から紹介され、必要性が叫ばれているもの、「家業」化した専業議員が議会を牛耳っていることもあり、議会改革はほとんど進んでいないのが実情だ。
「パソコン持ち込み可」の市議会は19%
答申ではまた、企業に雇用されているビジネスパーソンなどが立候補するのが難しい現状を変えることが必要だとして、「就業規則において、立候補に伴う休暇制度を設けることや、議員との副業・兼業を可能とすること等について、各企業に要請していくことを検討すべきである」としている。
新型コロナウイルスの蔓延以降、世間ではオンライン会議が一般化しているが、議会にオンライン会議を導入しようという動きはほとんどない。小学校高学年にはタブレット端末が全員分支給されている一方で、市議会でタブレット端末を導入しているのは815市のうち423市で52%に満たない。本会議場に全員がパソコンを持ち込むことが原則になっている市はわずか13。本会議場へのパソコン持ち込みを認めている市議会は155と19%に過ぎない。
そんな状況だから、議会へのオンラインでの出席などはほとんど実現していない。答申でも「議会へのオンラインによる出席」についても触れられているが、リアルで出席しないと出席とは認められないとする意見などと併記する書き方に終始していて、明確にオンライン会議を認めるようには求めていない。