お客の無理難題にはどう応えればいいのか。プロセスコンサルタントの山田和裕さんは「『決まりですから』と拒否するわけにはいかない。すべてルール通りですめば営業は要らない。できる営業は、いざという時に備えて準備しているものだ」という――。
※本稿は、山田和裕『1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
お客が求めているのは「柔軟で融通がきく営業」
「申し訳ありませんが、そういう決まりですから……」。社内規定やルールを理由に、お客様の何とかならないかという要望を慇懃無礼に断る営業をよく見かけます。
せめてダメもとでも、社内で相談する姿勢を見せるだけで、お客様は納得してくれることもあるのですが……。面倒くさいのかその手間すら端折ろうとします。「決まり通りで何が悪い」「ルールを破ると自分が叱られる」。そういった営業の心の声が聞こえてきそうに感じる時もあります。
しかし、すべてルール通りですむのであれば、営業は要りません。ものごとはルール通りにはいかないものです。特にビジネスにおいては、ルールは一つの線引きにすぎません。状況にあわせて見方を変えれば、ルールの解釈も変わります。
白黒がハッキリしているところまで無理に対応する必要はありませんが、グレーなところについて「何とかしてほしい」という意図をくみ取って柔軟に対応できると「この営業はよくやってくれる」とポイントが上がります。
逆に融通のきかない「頭の固い営業」は、「この営業に頼んでも杓子定規でダメだな」と見切られてしまいます。柔軟で融通がきくことは、お客様が営業に求める要素の一つです。決して、ルール通りの役人のような営業になってはいけません。
ここが「できる営業」と「できない営業」の差が大きく出るところの一つです。