「熱々ご飯のお供に」というフレーズは響かない

日本の場合、主食はあくまでもお米であり、おかずは副食という考え方を持っている人が多いのではないでしょうか。一方、台湾では、美味しいおかずが主食であり、白米はあくまでも副食と考える人が多いのです。したがって、副食の“添えもの”である佃煮にはどうしても食指が動きません。

日本ほど白米の品質が良くないことが影響しているのか、白いご飯よりもおかずを重要視する傾向が強いのです。そうした背景があるため、日本のような“熱々ご飯のお供に”というフレーズは台湾ではあまり響きません。

佃煮の販売促進を依頼されたときは、佃煮だけを売るのではなく、小ぶりのおにぎりの試食を提供しながら、瑞々しい日本米とのセット販売をするという方法を採用しました。

日本と台湾の間には似ている部分はたくさんありますし、日本の商品が受け入れられる土台はあります。しかし、ビジネスをする際には異なる習慣にも目を向けないと死角を突かれてつまずいてしまうことも考えられます。この点には十分留意をしておいたほうがいいでしょう。

日本のリンゴは人気だが、スイカは不人気

日本人が陥りやすい勘違いは、ほかにもあります。

台湾では日本の果物はとても人気です。それをどこかで聞きつけたのか、事前に厳選するというプロセスを踏まずに、とにかく日本から果物を持ってこようとする業者がいます。しかし、日本の果物が人気の台湾といえども、何でも売れるというわけではありません。

台湾のナイトマーケット
写真=iStock.com/Yongyuan Dai
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例えば、日本のリンゴは人気ですが、それは「赤」が縁起の良さを象徴するものであり、リンゴ(中国語で「蘋果(ピングオ」)の蘋の発音が「平安(ピンアン)」の「平」の発音に似ているから好かれているのです。「1日1個リンゴを食べていれば風邪をひかない」と昔から家庭で言われ、健康食品と見なされていることも人気に関係しています。台湾で栽培されているものよりも品質が良い点も人気の理由の1つです。

しかし、スイカとなると話は変わります。台湾のスイカはとても甘みがあって美味しく、サイズが大きいのにもかかわらず安価です。そうした事実を知ってなのか、もしくは知らないでなのか、日本のスイカを台湾で売り込もうとする日本の自治体があったりします。当然ですが、前もってしっかりと台湾の実情を調べておかないと、失敗する確率は高くなるばかりです。