子供の発達障害や不安障害は、どこに原因があるのか。『高学歴親という病』(講談社+α新書)の著者で、文教大学教授の成田奈緒子さんは「両親が高学歴な場合、子への過干渉が精神疾患の原因となっているケースがある。5歳までは習いごとよりも自由に遊ばせて、1日10時間の睡眠を優先してほしい」という――。(第1回/全3回)
母と落ち込んでいる子を叱る
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日本の子供たちがおかしくなっている

――成田さんは、公認心理師や社会福祉士といった専門家によるワークショップや個別相談の場を提供する「子育て科学アクシス」を運営されています。アクシス設立の経緯を教えてください。

【成田奈緒子】「日本の子供がおかしくなっているのではないか?」と思ったことがきっかけですね。

私は小児科医としてキャリアをスタートした後、アメリカで4年間、基礎医学の研究にたずさわったのですが、1998年に帰国したときに不安障害や摂食障害といった精神疾患で苦しむ子供たちが増えていることに気づきました。

当初は関西から関東に拠点を移したせいかなと思っていたのですが、データを調べてみると、実際に精神疾患や起立性調節障害で学校に行けない子供が増えていました。

そこで公認心理師の田副真美と一緒に、子供たちを診るようになりました。また、症状に悩む子供だけではなく、子供の生活や家庭を支えている親御さんを巻き込むことで、子供たちの状態が早くよくなることも実感しました。

これは医者である私が一人で診るよりも、いろいろな人と連携して患者さんを診ていったほうがいいと考え、田副とともにアクセスを設立しました。