ロシアへの経済制裁は本当に効果があるのか
2022年2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻した。それ以降、両国は交戦状態にあり、一年が経過した。依然として停戦に向けた機運は高まっておらず、事態は長期戦の様相を呈している。2023年2月20日には、ウクライナ支援の機運を盛り上げようと、米国のジョー・バイデン大統領が電撃的にウクライナの首都キーウを訪問した。
欧米を中心とする国際社会は、ロシアに対する経済・金融制裁の一環として、ロシアの主要行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除した。貿易決済から締め出し、経済活動を困難にさせるその狙い通り、2022年の財・サービス輸入額は前年から9%減少した。
ロシアは2022年1月分を最後に、通関統計の公表を止めている。そのため、相手先の国の統計からでしか、ロシアの貿易動向を探ることはできない。
欧州連合(EU)によると、2022年のロシア向け輸出額は米ドルベースで45%減少した。過去にロシアが公表したEUからの輸入額は37%(2021年時点)を占めていた。これが半分近く減ったわけだ。
欧州からの輸入は半減、それをカバーする「2つの国」
このヨーロッパからの輸入の減少を、ロシアは中国やインド、トルコといった国々からの輸入の増加でカバーしているといわれてきた。
実際に2022年の各国の対ロ輸出額を確認すると、トルコが前年比61.8%増と好調であり、次いで中国が同12.8%増、一方でインドが同12.5%減と、増減がはっきりと分かれる結果となった。
それでは各国は、ロシアに対してどのようなモノを輸出しているのだろうか。
以下では、HSコード(Harmonized System Code)に従って2022年の貿易統計を公表している中国とトルコに限定して、簡単に分析してみたい。共通点としては、両国ともロシア向けに化学製品の輸出を増やしていることがある。