英語とプログラミングは必須スキル

一方で「ボーン・グローバル企業」と呼ばれる、生まれながらにグローバル市場を意識したテスラやグーグル(アルファベット)のような会社が、現在、株式時価総額の世界ランキングの上位を占めるようになっています。

そうすると、お金を稼ぎたかったり、自分のやりたいことをやろうとしたりするなら、当然海外を意識して仕事をする、場合によっては海外で働くという可能性が出てきます。たとえ日本の企業に就職したとしても、世界を相手に仕事をしていくことは避けられないでしょう。

なぜボーン・グローバル企業が出てきたかというと、世界中でビジネスの共通言語がそろってきているからです。そしてその共通言語にあたるのが、まずは英語とプログラミング言語なのです。

英語は、最低条件でしょう。日本人は若い層でも英語を話せない人が多い。東南アジアの国々では、若手の優秀層はすでにみんな英語を話せますから、はっきりと負けています。

とはいえ、ネイティブと同じレベルで話せるようになる必要はありません。日本人はつい完璧主義に走りがちですが、片言の発音、ガタガタの文法でも、とにかく通じるというぐらいで十分です。グローバルなビジネスでの共通言語としての英語は、ネイティブでない人々の下手くそな英語です。最低限「伝わる」レベルの英語を、すべての子供が身につけることが大事だと思います。

もう一つの共通語、プログラミング言語も重要です。先ほどお話ししたボーン・グローバル企業は、ほとんどがIT系です。これらの企業が一気に世界に行けるのは、プログラミング言語も世界共通語だから。同じプログラミング言語で書かれたソフトが、世界中で動いているわけですね。だからコードを書くことができれば、世界で通用するのです。グローバルな新興企業が最初に拠点を置くのはだいたいインドなのですが、なぜインドかというと、若いプログラマーがたくさんいて、しかもみんな英語が喋れるからです。

プログラミング言語と重なる部分もありますが、数学もグローバルな共通言語の一つですね。たとえエンジニアでなくても、数学的思考はビジネスに不可欠ですし、今ありとあらゆる場所で活用が広がっているデータサイエンス(統計学など)の分野でも、数学の「行列」というメソッドが多用されています。信じられないことに、日本の高校の学習範囲から一時削除されていましたが、22年度から復活したようです。