“猫中心”で、人間を信じていない人たち
不幸な猫を増やさないためにも、猫を保護する活動を始めようと奮起する。
「最初は保護猫活動を行う団体のお手伝いをしたのですが、スタッフ間の微妙な空気感と、マウントの取り合いに疲れてしまったんですよね。私はどうも人とうまくできない。あと、年上の男性に無意識に甘えてしまい、その男性からナメられてマウントを取られるのです。
ある男性から、『かわいそうという気持ちで活動をしているのは不誠実だ』と怒鳴られたこともありました。活動家の多くは、“猫が中心”で、人間を信じていないことを隠さない人が多い。譲渡のときの猫の里親さんとの交渉なども疲れてしまい、団体での活動をフェードアウトしました」
でも、その団体で、野良猫の捕獲ノウハウ、活動を支援してくれる動物病院などを知ることができた。そして、できる範囲で、個人で活動をしようと決意する。
「猫は際限なく繁殖する」
「猫の気配を感じながら、毎日のように散歩をしていると、猫は結構、捨てられている。そんな猫を見かけると、捕獲して去勢・避妊手術をして、予防接種をします。その経費は男の子なら4万円、女の子は開腹手術をするから6万円くらい。
でも見捨てられないんですよね。家に連れて帰ると、最初は隠れていたのに、やがて私に慣れてくれます。持ち家だから飼育頭数制限もありません」
野良猫に無責任にえさを与える人に対しても、面と向かって忠告したという。相手から「バカ野郎」とか「クソババア」と面罵されたり、ペットボトルを投げつけられたこともあったという。
「猫は際限なく繁殖します。去勢手術をしてあげずに、えさをあげて繁殖させる罪深さを知らないんです。寒い日、暑い日など厳しい環境に猫は生き、カラスに攻撃されたり、人にいたぶられたり、交通事故などで死んでしまう。猫が街にいることが不幸なのです。それに、この世の中には猫が嫌いな人も多くいます」