会話に沈黙はあって当たり前
また、実は自分が緊張すると、相手も緊張します。緊張は伝染するのです。ですから、まずは自分が落ち着ける環境を作りましょう。
例えば、座席の位置。正面で向き合うより、カウンター席のように並んで座れる場所のほうが緊張しづらいです。
相手が自分の右側にくるか、左側にくるかでリラックス度が変わるようであれば、より落ち着くほうを選びましょう。
テーブル席にお互いが斜めになって座るのもおすすめです。
会話の最中は沈黙を過度に怖がらないことも大切です。
私自身もそうですが、相手の言葉が途切れると「とりあえず何か言わなくては」と考えてしまう人は多いはず。でも、相手が黙っているのは「これから話すことをじっくり考えているため」かもしれません。
無理に話題をつなごうとせず、黙って笑顔で相手の言葉を待ち、「それで?」と続きを促すぐらい心の余裕を持てるとベストです。
必要なのは「正しさ」よりも「優しさ」
さて、書店でビジネス書の棚を見ると、「ロジカルシンキング(論理的思考)」「できる人の話し方」といったハウツー本が大きなスペースを占めています。ビジネスパーソンの間では「ロジカルであるべし」は常識になりつつあります。
しかし、こうした「できる人(ふう)のコミュニケーション術」は、「感じがいい」どころかむしろ「感じの悪い」方向へと振れてしまいます。
【妻】今日、エアコンの調子が悪くて大変だったの
【夫】そういうときはすぐ修理業者を呼んだほうがいいよ
【妻】そうかなと思ったんだけど、業者の電話番号がわからなくて
【夫】そういうときのために、連絡先はまとめてどこかに貼っておいたほうがいいっていつも言っているだろう
【妻】なんでそういう言い方をするの。もういい!
このような「トラブル」に関する話題において、聞く側にもっとも求められるのは「感情」を受け止め、共感することです。
しかし、この会話の中で夫は「生活家電の調子が悪くなった場合にはどうすればいいか」「そのためには日頃からどういう備えをすればいいか」といった理屈・対策を語っています。
その話しぶりは「頭がいい人(ふう)」のそれですが、妻の気持ちをないがしろにしています。だから、妻は怒ったのです。