議論を混乱させているものは何か
本年2月1日の衆議院予算委員会で岸田文雄首相は、同性婚の法制化は「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題」と答弁した。この答弁をきっかけのひとつとして、同性婚の法制化の賛否についてさまざまなメディアでさまざまな意見が表明されている。
2月3日には私も、岸田首相の答弁を受けて、同性婚には「生殖可能性がない以上、現状国家が」法的婚姻制度でもって「保護すべき利益が見当たらない」との意見表明をTwitter上で行った。
同性愛という愛のありかたは個人の自由でありそれを理由に差別されるべきではない。デートすれば良いし、ウェデングすれば良いし、一緒に住んで助け合えば良い。しかしそれを国家が法的婚姻制度で保護することは全く別の問題だ。生殖可能性がない以上、現状国家が保護すべき利益が見当たらないからだ。
— 石埼学 (@ishizakipampam) February 3, 2023
この私のツイートは賛否両々を巻き起こしたが、法的婚姻制度や「婚姻の自由」の意義についての共通の理解がみられなかったため、議論は混乱した。また私のツイートを根拠も無く「差別」と指弾するものも多く見受けられた。それも同じ理解不足に起因するものと考えられる。
そこで本稿では判例や憲法学や民法学の学説を参照して、日本国憲法24条の婚姻の意義を確認し、読者の同性婚法制化の論議の参考としたい。