眠れないのは普通のこと

仕事が忙しい時こそしっかり眠りたいのに眠れない、日中への影響はないもののせっかく面談ついでに聞いてみたこの相談、産業医の見解は……。

「それは、うれしくないけど、普通のこと。心配いりません。」

気になることがあるから眠れない、緊張しすぎて夜中に起きてしまう、仕事の佳境になると朝早くに目覚めてしまう等々、このような理由があって眠りがおかしくなることは、うれしくはないですが、普通のことです。もちろん、その頻度が高すぎて、昼間の仕事に影響が出続けるような時は積極的な対処や治療を要しますが、そうでなければそんなに心配はいりません。

大切なのは、忙しい時期が終わればこういった症状が落ち着くことです。

多忙期が過ぎても症状が続くようだと、そのまま次の多忙期になってしまうとよからぬことが起こり得ます。

多忙期が終わっているのに睡眠がおかしい日が続き日中の仕事に影響が出ている。このようなときは、放置してはいけません。専門家の助けや積極的な対処や治療が必要な可能性がありますので、会社の産業医や街のお医者さんを尋ねましょう。

布団に入る前に緊張感を“区切る”ことが大切

私はAさんに、忙しい時ほど“過緊張”な状態が続いてしまっているのが原因だろうとお伝えしました。緊張し過ぎてしまっていることで、きっと寝る時も自律神経の交感神経がオン状態のままなのです。

屋外に置いてある、お茶とラベンダーの枝
写真=iStock.com/MarinaParshina
※写真はイメージです

多忙期に帰宅後急いで家事を片付け寝ようとした時など、仕事は終わっているのに、家事をテキパキやろうと気持ちが高まり、興奮したままで休まっていないのです。この状態で寝ようとしても、なかなか眠りにつけなかったり、眠りが浅くなったりします。

そのような時こそ、布団に入る前に自分の緊張感を“区切る”ことが大切です。数分でいいから目を閉じて深呼吸をする、ストレッチをしてみる、ハーブティーを飲んだりアロマをたいたり、BGMや照明を工夫するなど、できることはいろいろあると思います。何かをすることで、気持ちが高ぶっていた自分を一度落ち着かせる必要があります。いろいろ試し、自分に合うものを見つけることをお勧めしました。