眠れないことが不安となり余計に眠れないときはどうすればいいのか。外資系企業で産業医を務める武神健之さんは「『今日もうまく眠れないかもしれない』という不安に対処し、ちゃんと眠れる経験(成功体験)をすることが、睡眠改善には必要でしょう」という――。

眠れない時の具体的な対策方法3パターン

こんにちは、産業医の武神です。今年も順調に(?)産業医面談をやりまくっています。1年を通じてそれなりにある相談が、睡眠に関するものです。

「どうやればもっとよく眠れますか?」と社員たちは産業医に聞きにきます。しかし、これさえやれば絶対快眠できる! というものはありません。

今回は、実際に睡眠に関する相談で多い3パターンとそれぞれに対する産業医の具体的対策について、お話しさせていただきます。今月も、あなたのお役にも立てば幸いです。

忙しくなるとよく眠れないAさん

Aさんは30代前半の一人暮らしの女性です。残業が多いことを理由に会社から産業医面談を促されて面談に来られました。聞いてみると、仕事にはやりがいを感じていて、やらされている感はなく楽しく前向きにできているとのこと。数カ月ごとにプロジェクトのピークで忙しくなることはあるが、それが終われば落ち着くので、面談時は特に疲労の蓄積や健康状態に問題は見当たりませんでした。

遅い時間帯まで忙しく働いている人
写真=iStock.com/coffeekai
※写真はイメージです

しかし、体調や健康に関する心配事がないか聞いてみると、「忙しい時こそしっかり寝ないといけないから寝ようとするのに、よく眠れない時があり気になる」とのこと。もう少し聞いてみると、忙しい時こそ帰宅後テキパキと家事を済ませ、いつも通り24時前には布団に入るも、頭の中に翌日の予定ややらなければならないこと、ミーティングの内容などが浮かんできてなかなか寝付けない、寝ても仕事の夢で夜中に起きてしまう、その後眠れていたとしても、なぜかアラームより前に目が覚めてしまう……とのことでした。

また、このようなことが起こるのはプロジェクトのピーク時2週間くらいのうち数日のみで、決して連続はしないので昼間にそのせいで不調を感じたり、日中の仕事のパフォーマンスに影響はないとのことでした。