TikTokを見るとつらくなる男子大学生も…

このように、受動的にトレンド情報を受け取る装置という意味では、TikTokはテレビと似ているかもしれません。テレビも、つければ自動的に情報が入ってきます。インスタグラムやTwitterといったこれまでのSNSは、みずから検索して情報を集める、いわば能動的な使い方が基本ですが、TikTokはテレビと同じく受動的な使い方になっています。

TikTokは一見イマドキのツールに見えますが、情報の受け取り方という意味では、実はテレビの時代に回帰しているのかもしれません。

ただし、Z世代の中にはTikTokに興味のない人ももちろんいます。僕が大学で教えている学生には男子が多いのですが、「見るのがつらい」といった声もよく聞きます。きれいな写真ばかりが並ぶインスタも、陽キャ(陽気なキャラクター)の生き生きとした姿が並ぶTikTokも、自分には合わない・向いていないと感じる子は一定数いるのです。

刺激的であり、生きづらさの原因でもある

なのに、周りの話についていくために無理をしてでも見ようとする。それが生きづらさにつながっているようです。なかでもTikTokはトレンドの移り変わりが早いため、たまに開くと、自分がいかに時代についていけていないかを自覚させられてしまいます。

授業では、TikTokでバズった動画を集めてインサイトを分析し、自分でバズる動画をつくりなさいという課題を出すことがあります。これをこなそうとすると嫌でもたくさんの動画を見なければならないので、僕が教えている男子学生の多くは「もう見たくない」と愚痴りながらやっています。

そうした若者もいますが、TikTokは今やZ世代のトレンドやインサイトを知る上で欠かせないツールになっています。Z世代の上司や親の立場にある方々、この世代を対象としたマーケティング戦略や採用戦略などを担当する方々は、ぜひ参考にしていただけたらと思います。(再生数・いいね数は1月末時点)

(構成=辻村洋子)
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