炎上覚悟で親密ぶりをアピールする
TikTokでは「推し活」に関する動画もよく見られています。推し活は、好きな対象を応援したりそのために積極的に消費活動をしたりすることですが、全生活を好きな対象に捧げる「ヲタ活(ヲタク活動)」よりはかなりライトです。
Z世代では、大半の若者が「他の人よりちょっとだけ詳しい」と言える領域を持っており、何らかの推し活をしています。TikTok上では、この推し活に今までは見られなかった新しいタイプが生まれていることから、「シン推し活」と名づけてカテゴライズしました。
例としては、推しインフルエンサーや推し地下アイドルとの、恋人同士のような密な関係を見せつける「推し密マウント系」動画があります。
ファンの女の子が撮影会に行き、推しインフルエンサーとベッドの中でハグする様子などを投稿しているのです。他のファンが嫉妬して炎上するケースも多々ありますが、動画の傾向としてはこれまであまり見られなかったものです。
トレーディングカードの梱包がバズる
また、アイドルのトレーディングカードなどの“推しグッズ”を丁寧に梱包する様子を撮影した「梱包センス系」動画も人気です。トレーディングカードはメルカリなどで売買されることも多く、送る際には梱包が必要になります。
その梱包の仕方で、推しへの愛の深さや自分のセンスをアピールするというわけです。僕が見てもあまり面白いとは思えないのですが、Z世代には刺激になる、まねしたいと思う若者が多いようで、中には330万回以上再生された動画がありました。
同じタイプでは、アイドルグループの歌唱シーンから、専用のアプリを使って推しの声だけを抽出し投稿する「推し歌唱力アピール」もあります。アイドルは歌唱力に関して叩かれることも多々あるため、ファンがこうした投稿によって批判を覆そうとするのです。これもまた、推し活の新たな形と言えるでしょう。
なぜZ世代は「若いころの親の写真」を投稿するのか
3つ目は「間接自慢」というジャンルです。この言葉は僕が10年ほど前につくった造語で、直接的に自慢するのではなく間接的に自慢したいという若者独特の欲求を表したものです。