TikTokで人気を集める動画にはどんな共通点があるのか。芝浦工業大学教授の原田曜平さんは「利用者の多くは10~20代なので、大人には人気の理由がわからない動画も多い。たとえば510万回も再生されている『社長が従業員を叱る動画』は、若者は叱られる経験が少ないため、物珍しさから見られている」という――。(第1回/全3回)
ダンスビデオの作成
写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
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10代女性の半分はTikTokを使っている

今、Z世代と言われる若者たちの人気は、静止画中心のインスタグラムから短い動画中心のTikTokに移りつつあります。2022年10月に行った調査では、10~20代のうちTikTokを利用している人は約26%にまで伸びてきており、なかでも10代の女性では50%近くが利用しているという結果が出ました。

ところが、30~50代ではTikTok利用者はまだ8%程度しかいません。大人はほとんど見ていないと言っていいでしょう。YouTubeなどと違って、TikTokは大半の大人にとって未知の世界であり、どんな動画がZ世代の心をつかんでいるのか、それはなぜなのか、わからない人が大多数だと思います。

【図表1】TikTokの利用率

では、いまTikTokではどんな動画が人気で、それらにはどんな共通点があるのでしょうか。僕が所長を務める「次世代生活研究所」では、2021年11月~2022年7月に一般人から投稿され、10万回以上再生された、いわゆる“バズった”動画を収集して分類・分析しました。

バズる動画を分析して分かった「3つのインサイト」

そこから“バズる動画”は以下の3つのインサイトに分類できることがわかりました。

①「知りたい・学びたい」……知らない世界や日常に役立つことを知りたい・学びたいというインサイトに応える動画
②「共感したい」……自分と同じような愚痴や悩み、憤りなどを抱えた人に共感したいというインサイトに応える動画
③「刺激を受けたい」……新しいインフルエンサーの手法、推し活、間接自慢を知り、自分も取り入れたいというインサイトに応える動画

本稿ではこのうち「知りたい・学びたい」のグループを掘り下げます。そこには大きく3つのタイプがあります。

【図表2】一般投稿のインサイトまとめ