南会津の村がランクインしたワケ
7位の福島県桧枝岐村(353万円)は、日本最大の高層湿原である尾瀬の北の玄関口に位置する。「豪雪地帯のため住むのは大変で移住者も少ない」(総務課)が、村の北部にJパワー(電源開発)の奥只見ダムと水力発電所があり、そこからの固定資産税が財政を下支えしている。人口530人の村にあって2021年度は固定資産税収入が3億8000万円あった。
地方との向き合い方を見直すべき
裕福な自治体の上位200町村のうち、実質無借金なのは189。このうち141町村は過去5年間で実質債務のマイナス幅を拡大させている。つまり金融資産を増やしていたわけだ。過疎町村で無借金が多い点について、大和総研金融調査部の鈴木文彦主任研究員は「住民1人当たりの財政支出は大きいが、それを上回る交付税や補助金があるため」と解説する。小さな町村は、ふるさと納税に伴う寄付金や新型コロナ対応の地方創生臨時交付金の影響も大きく出やすい。
ふるさと納税は地方全体でみれば収入を減らし、恩恵を受けるのはサイト運営業者や節税メリットの大きい高所得者など一部に偏っている。
地方創生臨時交付金は巨額の赤字国債発行と引き換えに、地方へ多額の資金が流れている。
「無駄遣い」をするよりは「貯金」した方がマシだが、国の財政が悪化の一途をたどっていることを考えれば、地方への大盤振る舞いはそろそろ見直すべきだろう。