会社に刺激と活気をもたらす高卒新人

それでも「あえて大卒を採る必要はない」という教訓を得られたことには意味があったと思っています。大卒募集をやめたわけではありませんが、就職セミナーに参加したり会社説明会を開いたり、わざわざコストをかけてまで大卒者を採りにはいかない。「ご縁があれば」でいい。

近頃は大卒よりも高卒を採って鍛えたほうが効率的ということで、ここ数年は高卒の新卒採用を増やしています。2017年4月の採用について言えば、高卒を5人(女子4人、男子1人)、大卒を1人採りました。

菅原勇一郎『東京大田区・弁当屋のすごい経営』(扶桑社)
菅原勇一郎『東京大田区・弁当屋のすごい経営』(扶桑社)

玉子屋には大手企業のような社員向けの細かい研修プログラムがあるわけではありません。業務の基本は古いスタッフが新しいスタッフに教え、また現場でスタッフ自身が技術を習得していく。そうした「学び」は、若くて柔軟な高卒のほうが素直に受け入れられる。

今後一層求められるITやAIのようなICT教育(情報通信技術を駆使した教育)についても、必ずしも大卒が有利ということはありません。

それに高校卒業したての若い世代が入ってくると社内の刺激になります。たとえば弁当の注文を受ける事務スタッフは約100人います。そこに自分の娘と同じくらいの新人が4人入った。すると「しょせんは高校生よね」などと言いながらも、一生懸命新人に仕事を教える。新人もそれに応えて一生懸命仕事を覚えようとする。

春にやってくる新人が刺激になって、会社全体が活気づく、という効果は少なからずあるようです。

【関連記事】
「かつては東大卒よりも価値があった」47都道府県に必ずある"超名門"公立高校の全一覧【2022上半期BEST5】
「私は聞いていない」という上司はムダな存在…トヨタ社内に貼ってある「仕事の7つのムダ」のすさまじさ
仕事ができる人は知っている…「よろしくお願いします」より効果的なメールの締めのフレーズ
指示に従わない「くせもの部下」との1対1面談で、一流の上司が最後にする"最強質問"
頭のいい人はそう答えない…「頭の悪い人」が会話の最初の5秒によく使う話し方