自然な笑顔ができるかどうかも大事なポイント

一番大事なのは生い立ち。子どもの頃、どのような過ごし方をしたのか。ご両親や兄弟との関係はどうだったか。どのような愛情を注いでもらったか――。

「自分の性格をどう思う?」とか、「自分は親友からどう思われてると思う?」などと質問して自己分析させつつ、具体的なエピソードを引き出します。

そうした会話のやり取りから、「素直な心」、「感謝する気持ち」、「他人のせいにしない」といった心性がどれほどかを探る。

それから自然な笑顔ができるかどうかも大事なポイントです。

緊張する場面ですから、なかなか笑顔は出てこない。「笑ってごらん」と言っても引きつって笑えない子が今でもいっぱいいます。男の子でも女の子でも。

配達スタッフに笑顔は必須だし、内勤でも笑顔で働いている人は気持ちがいい。だから自然な笑顔ができる人材は得点が高いのです。

面接で笑顔を見せる人
写真=iStock.com/PonyWang
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あえて大卒を採用する必要はないとわかった

私が入社した1997年に玉子屋は初めて大卒者を新卒採用しました。

それまでは弁当屋に大卒者がやってくるなんて考えられないことで、アルバイトに「社員にならないか」と声をかけるのが採用活動のようなものでした。

きちんと新卒を採って、毎年4月には新人が入ってきて、社員たちには可愛い後輩ができる。そんな普通の「会社」にしようということで、この年から新卒採用を始めた。最初の年は確か、大卒4人、高卒3人を採用したと思います。

それから3年連続で新卒を採用したのですが、だんだん「新卒採用に意味があるのか」という空気が社内に立ち込めてきました。

なぜなら、大卒で入ってきた社員よりも叩き上げのアルバイトのほうが全然仕事ができるということが、誰の目にも明らかになってきたからです。

中卒、高卒の「悪ガキ」たちのほうがよっぽど頭の回転が速いし、融通は利くし、リーダーシップも取れる。人も育てられる。

大卒者が将来、経営幹部になるとは限らないことがよくわかりました。