まずはアルバイトとして3カ月働いてもらう

結局、2000年からは新卒、大卒にこだわらず、その都度その都度でご縁のあった人を通年で採用することにしました。

4月入社組は一応新卒の正社員という形で採用しますが、1年を通じて適宜、アルバイトや正社員を募集する。通年採用では基本的にはすぐに社員では採用しません。全員まずアルバイトとして入社してもらいます。

正社員希望の場合は、全社員にそれを告知した上で、3カ月ごとの試用期間を設けます。アルバイトとして3カ月働いてもらった上で、その人が正社員にふさわしいかどうか、会議をして決める。

「ふさわしい」という結論になれば社員として受け入れるし、「ふさわしくない」となればアルバイトのまま。早ければ半年で社員になるケースもあれば、社員希望でも2年間アルバイトのままというケースもあります。「社員になれないなら」とアルバイトを辞めてしまう人もいれば、「社員になるまで頑張ります」とアルバイトを続ける人もいる。

チームワークと人事管理のイメージ
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大卒社員を採ったことで、よい変化も

今は継続的な採用はしていませんが、大卒者を採るようになって社内の雰囲気も変化したように思います。菅原一族の「家業」から「企業」に、玉子屋が変わりつつあるという自覚を社員それぞれが持つようになった。

「上場こそしてないけど、最近はテレビや雑誌でも取り上げられるし、大卒も入ってきた。結構しっかりした会社なのかな」などと少し誇らしく思ってくれるようになったり。

それまでは仲間意識の強さでうまく回っていた部分もありました。しかし、大卒者が入ってきたことで「今に見ていろ。大卒に負けるもんか」という競争意識も芽生えた。勝手にライバル視された大卒社員としては風当たりが厳しくて、つらいものがあったかもしれません。

もちろん、経営者としては幹部候補のつもりで大卒を採ります。

頑張って叩き上げの先輩社員を抜いて、皆に認められて、2年後、3年後には配達エリアのリーダーぐらいにはなって欲しい。「そのつもりで給料もボーナスもアルバイトとは違う体系になっているんだから」と本人たちにも言い聞かせていましたが、なかなか思い通りにはならなかった。