※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
皆さんの家庭は「お財布」の管理、どうしていますか? 結婚して世帯になるとガラリと管理の仕方が変わり、どちらかが家計の主導権を握ることも少なくないでしょう。今日は、そんなお財布を妻に任せきりにしてきた男性の顚末についてご紹介します。
世帯年収2000万円のDINKsから無一文寸前に
暑い夏の日に私の事務所にやってきたのは、麻のスーツをパリッと着こなす男性、加藤肇さん(仮名/75歳)です。「これ、お土産です」と渡された伊勢丹の紙袋の中に入っていたのは、超人気和菓子店の水菓子。お土産もファッションのセンスもすてきな加藤さんに正直、驚きました。
というのも、「困った人がいるから助けてほしい」と言われて知人の紹介でお会いすることになったのが、加藤さんだったからです。しかしすでにこのとき加藤さんは、無一文寸前でした。
加藤さんはもともと建設業を営む自営業者で、年収は1000万円ほどでした。10歳年上の妻・永子さん(仮名)はキャリアウーマンで、メーカーに長く勤務されていたそうです。子どものいないいわゆるDINKsで世帯年収は2000万円ほどだったといいますから、手入れの行き届いた麻のスーツにも納得です。
現役時代は大盤振る舞い。地元の飲食店でも太客
現役時代はしょっちゅうふたりで海外旅行に行ったり、ゴルフ三昧の日々。自宅に仲間を招いてパーティーを催したり、ビンゴ大会を主催して高価な景品を用意していたこともあったそうです。そんな大盤振る舞いの裕福なカップルですから、取り巻きもたくさんいました。
地元の行きつけの飲み屋には夫婦連名のボトルキープがズラッと並び、友人たちには「俺たちがいないときでもボトルキープしてある好きな酒を飲んでくれ」と言っていたそうです。加藤夫妻は地元の飲食店にとっても太客でした。