「特権」はそれを享受している人には見えない

――独身女性は男性の反論に対し、どのような戦略で臨むのが賢明でしょう?

日本における男女の収入格差をはじめ、高い地位の役職に就いている女性管理職の割合などを例に挙げるのがいいでしょう。収入などにおける女性のデメリットは、家庭のある女性に限ったことではありません。

女性は高い地位に就かない限り、男性と違い、非公式のメンターによる指導や人脈づくりの機会に恵まれないというデメリットもあります。「特権」は、それを享受している人には「見えない」のが常です。成功している人々は、勤勉さゆえに成功できたと考えるものですが、実際には、まず才能や能力ありきで、それを使って成功したのです。

男性は(自分たちが恵まれた立場にいることに気づかず)成功を自分の力だけで成し遂げた功績だと考える傾向があります。

味方になる「ベテラン男性」との人脈を構築する

――日本のような「男性社会」で、女性が男性を敵に回すことなく、支援を得ながら不利な立場を克服して仕事で成功を収めるには、どのような戦略がベストでしょうか。

まず、「おじけづかないで」と女性たちに言いたいです。男性から抵抗を受けるのではないか、と心配する女性は多いと思います。実際にそうした経験をすることもあるでしょう。でも、ひるまないでください。

次に重要なのが、社内や社外における人間関係の構築です。女性同士の交流ももちろんですが、男性との人脈を築くことが重要です。年齢層や役職、部署、組織を超えて、できる限り広範囲の人脈を構築するのです。特に、先輩やベテラン男性との人脈は重要です。味方になってくれる男性は必ずいます。それが誰なのかを見極めるのがカギです。

協力する男女のビジネスパーソン
写真=iStock.com/MarsYu
※写真はイメージです

具体的には、メンターになってくれる男性を探すのもいいでしょう。私自身のキャリアを考えても、ベテランの男性学者らに何かを頼むと、いつも助けてくれました。アドバイスを請うことから始めるのが効果的です。同じ仕事で競い合っている同レベルの男性は最も手ごわい存在ですが、多くのベテラン男性は、女性にアドバイスをしたりメンターになったりすることに前向きです。

繰り返しますが、それには、まず誰が味方になってくれそうかを見極めることが非常に重要です。女性は、愛想のいい丁重な振る舞いを期待され、相手を優先して平和的に物事を進め、野心や自分を抑えるよう求められがちです。そのため、誰からも好かれたいと考えてしまいますが、自分自身のためにもキャリアのためにも、そんな必要はありません。