岸田内閣は、2027年度の防衛費を国内総生産(GDP)比2%に増額することを示している。元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏は「重要なのはカネの使い方だ。防衛省はミサイルをはじめ国産装備にこだわっているが、コストパフォーマンスが悪すぎる。十分な発射実験もできず、性能にも不安が残る」という――。

※本稿は、香田洋二『防衛省に告ぐ 元自衛隊現場トップが明かす防衛行政の失態』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

政府与党政策懇談会で発言する岸田文雄首相
写真=時事通信フォト
政府与党政策懇談会で発言する岸田文雄首相(左から2人目)=2022年12月23日午前、首相官邸

GDP比2%は大歓迎だが、問題はカネの使い方だ

岸田文雄政権は、国内総生産(GDP)比2%を念頭に防衛費を大幅に増額し、防衛力を抜本的に強化する考えだという。私の現役時代はGDP比1%枠に苦しめられたことを考えれば、GDP比2%などと言われると隔世の感がある。

防衛費の増額に異論があるはずはない。だが、問題はカネの使い方だ。言うまでもないが、軍事力は使われないのに越したことはない。戦争が起きる可能性も低い。とはいえ、いくら可能性が低くても、一度戦争が起こってしまえば被害は甚大だ。ウクライナを見れば一目瞭然だが、我が国だって壊滅的な損害を被り、再起不能に陥る危険と隣り合わせなのだ。

そうした事態に備えるため自衛隊は存在する。予算が2%に増えるからといって、割高なものを闇雲に買ってはならない。ましてや、装備の優先順位上、不必要な装備や性能が不十分な装備を購入するなど言語道断だ。自衛隊の任務遂行能力の向上のために、もっと安く、もっと使える装備があるなら、そうした装備を買うべきである。