世界経済の地殻変動に、救われた業種もある。かつては「鉄は国家なり」といわれ、その後衰退の道を歩むかに思われていた鉄鋼業である。2000年代前半から、中国を筆頭に、インド、ブラジルなど新興国が台頭し、世界の鉄鋼需要はその水準を切り上げた。

08年のリーマン・ショックで一時的に需要は落ちたものの、先進国に比べて新興国の回復スピードは圧倒的に速い。JFEHD社長の馬田一は「経済をはじめ、力の中心が日米欧の先進国から、新興国に移動している」と表現する。