ゴールはあくまで最終的な利益
仮にプロモーションがうまくいき、予想をはるかに超えるPV(ページビュー)が得られたとしても、ユーザーに魅力が伝えきれずCV(コンバージョン)までのアクションにつながらなければ利益にはなりません。
また、プロモーションの成功により注文が殺到した場合でも、それに対応できる生産体制やオペレーションが整っていなければ、対応できず、売上も伸ばせず、顧客満足度は下がり、利益を伸ばすことは難しくなるでしょう。
利益につながらないなら、そもそも予算をとってまでその施策を行う意味が失われてしまいます。
マーケティングを考えるにあたっては、ゴールはあくまで最終的な利益であるというのを忘れず、部分最適ではなくバリューチェーン全体の最適化を目指すのが、正しい方向性であるといえます。
部分最適より、全体最適。
言葉にすると当然のことのように感じるでしょう。それにもかかわらず、部分最適の罠にはまる企業が後を絶たない理由はなぜでしょうか?
外部委託したくても専門会社は圧倒的少数
多くの企業が、部分最適になっても満足いく結果が求められず、100点満点の結果を求め、部分最適の中でPDCAをまわし始めます。真面目な社員であればあるほど、与えられた環境の中で結果を出そうとし、もがきながら部分最適の沼にはまっていくのです。
すると、そもそもの構造に無理があるので結果はなかなか出ません。
そうすると次の打ち手は「外部専門業者の活用」になってきます。
ただ、マーケティングサポートを掲げる会社は星の数ほどありますが、本書で定義するマーケティングを提供する専門会社は、実は圧倒的少数です。
「マーケティング 相談」といったキーワードで検索をかけると、膨大な数の会社がヒットしますが、一部大手を除いてその大半は、「メディアプロモーション」「ウェブ広告」など、事業領域が限定的です。たとえばSEO対策を提供する業者は、「特定のウェブサイトを検索エンジンで上位に表示する」という分野の専門家であり、メディアへの露出やブランディングなどは、専門外のところが多いでしょう。
こうした業者はいわば、部分最適に特化したサービスを提供しているといえます。
短期的な業績で一喜一憂してしまう
それら限定した部分に課題を抱える企業にとっては極めて心強い存在であり、その手を借りることで部分的には改善し、短期的に業績を伸ばすことももちろんできますが、一方で「モノを売るための仕組みづくり」という企業活動全般に関わる課題を担うのは、難しいというのが実情です。