副交感神経を高める「ゆっくりな日常」

もし、あなたのストレスが上司のパワハラや、パートナーのモラハラなどによるものだとしたら、それはしかるべき手段で原因を取り除くべきだと思います。

でも、多くの場合、ストレスの原因だからといって、今ある環境をリセットすることは難しいでしょう。また、自分でコントロールできないことで心を乱されることも日々、あるものです。

必要なのは、ストレスをゆるやかに受けて、ダメージを小さくすること。そして、すぐに乱れた自律神経をリカバリーできるよう、副交感神経の働きを高めておくことです。

おすすめは、日常を「ゆっくり」と過ごすことです。時間に追われていると、それだけで交感神経は高まります。現代人は何かとせかせかしすぎです。急いだことで得られるアドバンテージなど、わずかなものなのに。

むしろ、気持ちが焦れば交感神経が高まり、呼吸が浅くなり、血流が乱れて、パフォーマンスは落ちていきます。仕事が山積みで慌てて仕上げたらミスが見つかり、気持ちが落ち込んで、他のこともうまくいかなくなる……なんて経験は、誰しもあるでしょう。

「急がば回れ」「急いてはことを仕損じる」「短気は損気」などといいますが、慌てれば慌てるほど、脳の働きは低下して、思考力も判断力も落ちてミスにつながります。ゆっくりとした行動を心がければ、心に余裕が生まれ、自律神経をいたずらに乱すことがなくなりますし、何かあったときも焦りや不安に心乱されずに対処できます。

私たち現代人は、そもそも交感神経が優位になりがちな生活を送っています。だからこそ、歩く、話す、歯を磨く、食事をするといった日常の動作をゆっくりと行うことを意識しましょう。呼吸が安定し、副交感神経を高めることができます。

自宅の椅子でリラックスしている若者
写真=iStock.com/Adene Sanchez
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