後悔の涙が幸せの涙に

お兄さまの言葉を受けて、優子さまは息ができないほど激しく泣き出しました。その場にいた誰もが泣いていました。いつしか部屋に戻ってきていたきょうだいのお子さまたちも、優子さまの背中をさすって心配しています。ふと気づくと、あれだけにぎやかだった控え室が静かになり、愛情に満ちた涙に包まれていました。

後悔の涙が幸せの涙に変わったことで、この後のお通夜も翌日のお葬式も、温かい雰囲気の中で、安堵の笑顔と感謝の涙でのお見送りがかないました。

家庭には、多かれ少なかれ何かしらの問題があります。そういう場合、言いたいことをため込んで爆発させてしまうのではなく、定期的に話し合って思いやりのある吐き出し方をすることも大切で。さらにつけ加えると、そこから相手の本当の思いを聞き出すことも重要です。

相手の心をグサグサと刺しただけでは何も生まれません。ましてや今回のように、相手がそのまま亡くなってしまっては、この先を歩む人がずっと後悔を抱えて生きていかざるを得ず、苦労をすることでしょう。

そういった事態を招かないためにも、普段からケンカ別れをしない心がけは必要です。今回は、母親が息子に言葉を遺しておいたことが、優子さまの心を救いました。母親の本心、真実を聞けたことによって、ご遺族のこれからの生き方がよき方向へと変わることは言うまでもないでしょう。

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