※本稿は、西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
フィリピンで真夜中に両替えするには
僕はいまフランスのパリに住んでいるのですが、もともと海外に行くのは好きで、これまでに60カ国以上を訪れました。
外国に行くのがおもしろいのは、日本では想定しないようなことが起こるからです。
想定外のトラブルに遭遇したときに、手段も限られる中でどう解決するかというゲームを楽しんでいる感覚です。
これまでに海外でいろいろな体験をしたのですが、ここでは問題解決にちなんだエピソードを紹介します。
20代の頃、友だち数人とフィリピンへ行ったときに、夜中に買い物をしようとなったんです。でも、誰もフィリピン通貨のペソを持っていませんでした。両替所も閉まっている時間でしたし、誰もクレジットカードを持っていなかったのですが、買い物はしたい。
そんなとき、みなさんならどうするでしょうか。
両替所が開く次の日まで待つという人が多いかもしれません。でも、僕は違う方法をとりました。
ペソがないままコンビニへ行ったんです。
交渉は相手が困る状況を狙え
夜遅かったのですが、そのコンビニにはけっこうお客さんがいました。僕たちは買いたいものをカゴに入れて、レジ待ちの列に並んで、順番が来たらレジの店員にカゴを渡しました。
そして、レジの店員が「○ペソです」と言ってきたときに、店内のお客さんに聞こえる声でこう言ったんです。
「僕らはペソを持ってないので、誰かドルで○ペソを買わせてくれる人、いませんか?」
すると、僕らの後ろにレジ待ちで並んでいたうちの1人が、「じゃあ、オレが買うよ!」って言ってくれたんです。それで、ペソとドルを交換してもらって、無事にコンビニで買い物をすることができました。
これは僕の思惑どおりでした。
たとえば、道端でいきなり外国人に「両替してくれ」と言われても、大半の人はとりあわないでしょう。でも、この場合だと、誰かが両替えしないとレジ待ちの列が進まないので、並んでいる人は解決するまで待たされるんですよね。
要するに交渉は、相手が困る状況のほうがうまくいくんです。
だから、僕らの問題が解決しないと、並んでいる人たちは会計ができないという“困る状況”をあえてつくったわけです。