7割の夫婦は「モノの片づけ」でもめたことがあるという。整理収納アドバイザーの米田まりなさんは「ある調査によると、リビングを週1回以上の頻度で掃除する人は、全体の半数程度。残りの半分の方は、週1回も掃除をしていない。掃除習慣は人によって異なるので、家庭内で差を埋めることを意識したほうがいい」という――。

※本稿は、米田まりな『あの人にイライラするのは、部屋のせい。』(PHP研究所)を再編集したものです。

家事を手伝わない夫に文句を言う妻
写真=iStock.com/takasuu
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7割の夫婦がモノでもめた経験がある

夫婦喧嘩・親子喧嘩の原因は、ズバリ「モノ」です。

いきなり深刻な話題から入り、驚かせてしまったかもしれません。

片づけにまつわる夫婦・親子間のトラブルは、意外にも深刻です。株式会社サマリーが行なった「夫婦間のモノのトラブルにまつわる意識調査」(インターネット調査/既婚者600人対象、2016年)によると、モノについてもめた経験のある夫婦は7割にものぼります。

「相手の持ち物が多すぎる」「自分のモノを勝手に捨てられた」といった、一見些細ないざこざが原因で、半数の夫婦が結婚を後悔し、3人に1人は、離婚の危機にまで発展してしまうこともあるようです。

ところで、「自己奉仕バイアス」という心理用語をご存じでしょうか?

簡単に説明すると、「成功」は自分の手柄とするのに、「失敗」の責任は取ろうとしない人間の習性を表しています。曖昧な情報を、都合のいいように解釈する傾向とも言えます。

環境には家族の言動を決定づける力がある

これを家庭生活に置き換えてみると、「家庭内のことが上手くいけば自分のおかげ」「上手くいかなければ家族や環境のせい」にしてしまう危険性があるということです。

夫も妻も、あるいは親も子供も、家庭に対する自身の貢献度を過大視する一方で、「あの人のせいで、この家は汚いんだ」「宿題をやる気にならないのは、部屋が散らかっているからだ」と、ことあるごとに家族や家庭環境への不満を募らせていくのです。

片づかない部屋やモノのいざこざで夫婦が離婚の危機にまで発展してしまうのは、お互いが自分の行動を棚に上げて、パートナーや環境のせいにしてしまうことに原因があります。この状態から脱する一つの方法が、「家族や部屋のせいにさせない仕組み」です。

家庭環境は、あなただけでなく、家族の思考や言動を決定づけると言っても過言ではありません。夫婦、家族の関係を良好に保つためにも、片づけがいかに重要かを、パートナーにも気づかせるように働きかけてみてください。