豊富な資金を必要としない受注生産型モデル
――ビジネスモデルの面ではどんな点が強みになっていますか。
僕たちのビジネスは、キャビンを建設する土地やキャビンそのものを不動産会社や所有者から借りて、それをサブスク利用者に又貸しする「サブリースモデル」です。一般的に不動産ビジネスでは重い資金と長い回収期間が必要ですが、そこを回避して、自分たちを身軽なサービスオペレーターという立場に置いているところが大きな特徴かなと思います。
この考え方は当初から変わらず、今も資金融資を受ける割合は全体の投資金額の30%以内に収めると決めています。融資は拠点を開発する地域の地方銀行にお願いするようにしています。
会員枠が埋まってから開発に着手している点も特徴で、不動産ファンドの方からは「受注生産型不動産開発だね、よく思いついたね」と言われました。ただ、これは最初からそうしたモデルをやろうと思っていたわけではなく、言われて初めていい手だったなと気づいたのですが(笑)。
このビジネスモデルだと地方銀行とつながりができるので、現地の土地情報も入りやすくなります。おかげで、日本にはまだまだ原野や山林がたくさんあり、活用したいと考えている所有者もたくさんいるのだなと実感できました。
リゾートホテルのような「絶景」は必要ない
僕たちが探しているのは大規模開発ができるリゾート地ではありません。一定の自然的景観さえあれば、ごく小さな土地でもいい。対象の範囲が広いので、従来の貸別荘や大型リゾートホテルに比べると、非常に土地を見つけやすいんです。
加えて、「SANU 2nd Home」は会員登録から予約、チェックイン、決済まですべてモバイルで完結する仕組みにしています。キャビンも無人で、すべてソフトウエアで管理することで人件コストを抑え、そのぶんSANUのメンバーがよりよい体験の提供に力を割けるようにしています。
宿泊施設では必須のリネン交換や清掃、メンテナンスなども、すべて地元の業者さんに業務委託しています。リゾートホテルと契約する業者さんは閑散期には仕事が減ってしまいがちですが、当社の施設は年間を通じて安定的に業務が発生するので、いい関係を継続できるという点も強みかなと思います。