「自然の中で働きたい」という実体験がベース

――起業の経緯や事業アイデアを思いついたきっかけを教えてください。

2015年に、友達の結婚式で本間と出会ったのが始まりです。当時、僕はマッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタントとして働いていて、彼はホテルやキャンプ場を企画運営する会社「バックパッカーズジャパン」を経営していました。

互いに自然が好きだったこともあってすぐ仲良くなり、「2人で自然をキーワードにした事業をやりたいね」という話になって、2019年に一緒にSANUを設立しました。でも、最初の半年ぐらいは模索ばかりしていましたね。最初は自然を生かしたホテル事業を立ち上げようとしていたのですが、コロナ禍でストップしてしまって。その後しばらくはアイデアを練り直す日が続きました。

その中で出てきたアイデアのひとつが「SANU 2nd Home」でした。思いついたのは、ワーケーション先から本間とリモート会議をしていたときです。僕はエアビー(Airbnb、民泊サービス)を使って自然の中に滞在していたのですが、「こういう環境で働けるのっていいな」と、ふと幸せを感じてしまって(笑)。その瞬間、これを事業にしたいと思いました。

僕は、それまでもよくワーケーションやグランピングに出かけていたのですが、どのサービスも結構高いんですよ。もっと気軽に、定期的に自然の中で泊まれるプランはないかと探していたところだったので、だったら自分たちで始めたらどうかと考えました。

週末よりも平日の方が稼働率が高い

――現在、約5700人が会員登録待ちだそうですね。

供給が追いつかなくて申し訳ないのですが、会員の方が「利用したいときに利用できない」となってはいけないので、今のところ会員数は数百人とさせてもらっています。そのうち75%ぐらいが30〜40代で、他にはシニアカップルも多いですね。

現在会員登録をお待ちいただいている方、これからご登録いただく方に対しては、新規拠点の開業が見込まれる2023年春から夏にかけて何かしらのご案内できるように準備を進めています。

【図表】Usage Trend

手応えはやはり大きいです。平日はDINKsやシニアカップル、週末は若い家族といいバランスで分散していて、稼働率は平日が77%、休日が64%と週末よりむしろ平日のほうが少し高い状況です(注)。これは、ひとつの家族でも、例えば今週は家族で山中湖、来週はパパだけ軽井沢でワーケーションなど、定額制でいろいろな場所に滞在できるという点が強みになっていると思います。

(編註)週末やお盆などのハイシーズンには月額の5万5000円に加え追加料金が加算される。

また、SANUは1回の利用が平均2.5泊と一般的な宿泊業よりも高いのが特徴です。コロナ禍でちょうど「自然の中で過ごしたい」というニーズやワーケーション人気、グランピング人気などが高まってきた時期でもあり、サービス開始のタイミングが良かったことも一役買っているのかもしれません。