例えば、あるトップメゾンは、15年前から余った服を赤十字に寄付し、当時、アフリカなどに送っていた。

日本でユニクロが猛威を振るっていた時期だったから、「日本人はユニクロしか買えないが、アフリカの難民はハイブランドを着ている」という冗談話をよく覚えている。

日本人はユニクロを着ているが……
写真=iStock.com/jacoblund
日本人はユニクロを着ているが……(※写真はイメージです)

SDGs対応を求められるユニクロやZARA

これに対し、ユニクロやZARA、H&Mなど、世界規模で事業を展開する企業はどうか。

SDGsへの取り組みは積極的に見えるが、トップメゾンとはやや事情が異なっている。

彼らグローバルSPAの中心顧客は年収でいえば300万円程度。とても、社会活動にプレミアム料金を払う余裕などない。

彼ら、彼女達の言葉を借りていわせていただければ、「安くてかわいければいい」ということになる。

しかし、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長にウイグル問題について記者たちがしつこく回答をもとめ、「2兆円の売上を支える社会責任」を追求する様をみると、ハイブランドとは違った事情が見えてくる。

経営学でいう「コストリーダシップポジション」をとるファーストリテイリングやZARAなどのガリバー企業は、その巨大さゆえに社会的責任が重大となる。

そのため、ハイブランドによるSDGs対応とは別の意味で、まわりからSDGs対応を求められる。