自動車産業の環境対策は政府がバックアップ
もう一つ不思議なことがある。
自動車に関しては、世界中で排気ガス規制が制定されている。
例えば、ドイツの主要都市では2030年以降、旧式の排気ガス規制レベルにしか対応していないディーゼル車は、市内走行を制限される。
イギリスでも30年にはディーゼル車の販売が禁止される。
日本は、25年まで年率5%程度の割合でCO2を削減する目標を掲げている。また、東京都の小池百合子知事は、30年までに都内の新車販売を全てハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などに切り替える目標を都議会本会議で発表した。
また、自動車の購買時にはエコカー減税がつき、政府と企業が一体となって消費者をエコカーへ誘導する施策を行っている。
このように自動車産業では、各国が環境破壊の深刻さを認識したうえで、政策によってたがをはめている。産業に対して禁止規制を目標値として掲げたうえで、産業側はその目標に向かって技術革新を進めている。
全責任がアパレル企業に押し付けられている
一方、アパレル産業に関しては、あたかも企業に全責任があるかのごとく一方的に断じられている。
ひどい論考になると「アパレル企業は少なく作るとその分売上が下がるが、作りすぎても儲かるから作りすぎるのだ」など、間違った事実認識(作りすぎれば、棚卸資産が現金を減少させてキャッシュフローが悪化し倒産する)を流す有識者もいるほどだ。
さらには「消費者が安いものをタイムリーに求めすぎるから悪いのだ」(では消費者は、流行遅れの高いモノを買うべきなのだろうか?)など、消費者の責任にするものもある。
そして最後は「大量生産と作りすぎが問題だ」と結論づけている。